Honey dip siete

「何だか、身動きが少し楽にとれるようになったぞ!」
カミルは入ってきた扉へと歩きました。そして、やっと扉に辿り着き、外へと
出ようとする間際、黒髪をなびかせた少女と一瞬すれ違いました。
「あれは誰だ?心なしか、やけに凛々しく歩いてたようだけど、、、」
 とカミルは思いましたが、次の瞬間
 
ぱあん

と音がして、しばらく朦朧としていると、やがて、子供くらいの背丈で一見、
可愛らしい、が、よくみると少し不気味な、それでいて少し、もの悲しげな誰かしらが
目の前に現われ、
「やっと、お莫迦さんのおでましだな、ケサランパサラン」
「君は誰だ?」
 とカミル
「僕はシテロ、此処の13ある扉の案内人さ、ケサランパサラン」
カミルは、よおく辺りをみわたすと、確かに、半円の弧を描くように同じような扉が
13ばかり並んでいました。
「僕はカミル、さっきの扉から、しばらくの間でられなくって困っていたんだ。」
「それは君が価値観もそのままに勝手に扉に入ってゆくから、そんな事になるんだ。
 まぁ、僕が此処を留守にしてたのも悪いんだけどさぁ、、、
あ、それから、さっきすれ違った黒髪の女の子、彼女には感謝しなくちゃいけないよ
彼女が、はちみつ扉に入っていってくれたおかげで、はちみつが少し溶けたから
偶然にも君が扉から出る事ができたんだからね。
まぁ、それよりなによりもうすぐ夜明けだ、 ソンブラ が来る前に、君に本当に合う
扉を見つけないと、、ケサランパサラン」
「あの黒髪の女の子のおかげで出る事が出来たんだ、、もし何処かで会う事があったらお礼
を言わないといけないね。
だけど、、何だかよく解らないんだけど、もう扉に入るのは勘弁だ、あんな不自由な思い
はしたくないんだよ!」
 と、ここでシテロは、カザネにした価値観云々の話をカミルにも講釈する。
 やがて、何とかカミルも渋々ながら何とか受け入れた様子。そしてシテロはまたもや
 意味不明なウタを歌い始め、そして不可思議な踊りを舞い、カミルに合う扉を見つける。
「どうやら、君にあう扉は、右から六つ目のキャラメル扉のようだ、、ケサランパサラン」
「なんだか、此処はお菓子みたいな扉ばかりだなぁ、、」
 ぐわわわん
「ほらぁ、本来ではあってはならない扉の逆戻りをしたから、時間の流れが狂い始め出し
てる! 急いでおくれよ!ケサランパサランっ!!」
ぐわわわん
「わかったよ、、心を出来るだけカラッポにして、胸を張って背筋をのばし、真っ直ぐに
前を見る、それから大きく伸びをして深呼吸、そして扉を開ければいいんだろ。
やりますよぅ、、」
ぐわわわん


oche

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